パラゴン格闘記 ’22 ③【更なる高みへ:システム調整】
当店顧問のR35sTuttiです。
以前書いた「当店のウリは何?!【パラゴンが奏でる音楽《後編》】」の中で、「音作りを誰かに任せて上手くいくポイント」は「依頼人の期待に応えられる凄い人(注1)を見つけること」と記載いたしましたが、今回はその詳細について。(途中の店内の写真はこれまでの変遷:最近→最初期)
これまで名前を伏せてきましたが、我々が見つけた「依頼人の期待に応えられる凄い人」は、前回の記事で挙げた北九州・小倉にあるオーディオ・ビギンのオーナー 小山尚二氏。
約10年になる九州のジャズ・スポット巡りの中で、出会った多くの音作りの達人達の中でも別格の一人(もう一人は大阪・京橋 NONSY!(ノンシー)のマスター )。
知り合って4年。
各地のジャズ・スポット同様、この店にもよく通っていますが、この方の音楽に対する見識の深さ、そしてその鳴らしたい音楽、鳴らす空間の特性を考慮した音作りの見事さにはいつも唸らされてばかり。
九州のジャズ・スポットを代表する老舗店のオーディオ担当もこの方。
マスターが鳴らしたいジャズとあの空間で実際に再現されているジャズとの素敵な関係。
・オーディオ・システムを自分が構築することに拘るより、自分の鳴らしたい音楽を実際に鳴らす方が大切。
・自分に出来ないなら、それが得意な人にお願いすればいい。
そんなマスターの潔いまでのジャズへの誠実さ、愛情に心から敬服。
我々もあんな素敵な関係が持てるといいなぁ、と思っていました。
これに合わせて、当店までご出張いただき、オーディオ・システム全体のチューン・アップもしていただけばいい!
その申し出をご快諾いただき、迎えたチューン・アップ当日。
これまでのつき合いから、私の鳴らしたい音楽/鳴り方のイメージは既に熟知されておられる小山氏。
まずは現状の音をしばらく聴いていただきましたが、その後、一言。
「想像していたより、よっぽどいい音やったわ!(注2)」
「でもな!これは君のイメージ通りでもないんやろ?基礎的な部分はもうこれで良さそうやけど、ちょっと手を入れるよ!」
そうおっしゃってからは、小山氏の時間。
CDを鳴らしながら、パラゴンの裏に回って、ネットワークを弄り、戻って音を確認し、またパラゴンの裏へ。次に、プリ・アンプのイコライザーを触っては確認。
何度もパラゴンの裏とプリ・アンプとの間を行き来して、音を作る小山氏。
これでどう?
早っ!と思いながら、聴かせていただいた音が何と。
実に表現が難しいのですが、ぼてっと厚ぼったく滲んでいた音楽の輪郭がしっかり出て、澄んだ感じ。
我々の望んでいたとおり、音楽の繊細な空気感がよくわかる様になり、大興奮。
その後、よく聴くレコードやCD等、色々音源を変えて試聴。
あともう少しだけ、全体的に柔らかく聴こえると。
そうか?わかった!と言うなり、またごそごそ。。。
これでどうだ!!
満面の笑みの小山氏。
その見事な調整ぶりに言葉もなく、ただただ、頷きながら満面の笑みを返す我々。
我々の作り上げた「音(=いい音楽)と珈琲で『癒される空間』」
モノラルカートリッジの銘器『オルトフォン CG-25Di』に見合ったレベルにまで磨き上げることが出来たと自負いたしております。(注2:オーディオ愛好家の皆様へ)
是非一度、ご体験くださいませ。
(注1) 依頼人の期待に応えられる凄い人とは【以前掲載したものですが、再掲します】
依頼人が持っているどんな音楽をどう鳴らしたいというイメージ※。それをちゃんと理解した上で、その音楽がその場所で更に高いレベルで聴けるように改善を図れるとてつもない才能をお持ちの方のこと。ちなみにそんな有難い方はそうそう存在しないと思いますので、為念。
※:蛇足ですが。。。当然ながら、どんな音楽をどんな風に鳴らしたいのかというイメージをしっかり持つことが、全てを決める最重要ポイント。
ちなみに我々は、想像が実体験/知識を超えることは難しいと考えているので、元々持っていた好みをベースに、出来得る限り、最上級のライブ/演奏会/店/個人宅の音楽を聴き、話を聞き、本を読み、そのイメージを少しずつ固め、高めてきました。
(注2)想像していたより、よっぽどいい音
実は、我々の作ってきた音が、辛口の小山氏にどう評価されるか、超ドキドキ。
小山氏のこのお言葉をお聞きした瞬間、ホッとしたというのが、正直なところ。
思えば、ここに至るまで、どのくらいの知恵・時間・労力・お金を注ぎ込んできたことか。。。古処のマスター(下の写真)が試行錯誤の末に辿り着いたこのオーディオ・システムをベースに、もう一人の達人・大阪のSONNY師のご指導の下、悪戦苦闘を繰り広げ、その後も地道に少しずつ手を入れ続けた日々、等々、走馬灯の様に過ぎった想い。
また後日、小山氏に伺った話ですが、あの短時間で調整出来た理由※は、「元々、それなりにいい音が鳴っとったから、想定してたより全然楽やった。実は、どうにもならん時のために色々小道具を準備しとったんやけど、どれも使わんで済んで、助かったわ」とのこと。
これまでの努力が全て報われ、昇華した素敵な一日でした。
※短時間で調整出来たもう一つの理由
パラゴンは、優秀なユニット・ネットワークを変に弄らず使っている(わかっている人間からすれば、思い通りに動かせる)ので、調整しやすい、とのことでした。
何と!パラゴンが奏でる音楽はこんなに変わったにも関わらず、周波数特性の波の形はそれほど変わらない?一番違うのは1kHz辺りですが、その違いがこんなにも音楽に影響する?
鳴っている音楽のレベルの視覚化が如何に難しいことか、そもそも音を作ることの難しさを、改めて思い知らされた気がいたしました。
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